なぜ私はネットワークビジネスを断ったのか

世の中には「ネットワークビジネス」と呼ばれるものがあります。おそらく、あまり良いイメージを持たない方が多いかもしれません。実は、私も過去に某有名A社の方からお誘いを受けた経験があります。

大学時代、私は個別指導塾でアルバイトをしていました。当時、バイトリーダーとして日々の業務をスムーズにこなしていたのですが、卒業後、その塾の室長(男性)から突然の連絡がありました。「近況を聞きたいので家に来ないか?」という内容です。

室長は温厚で笑顔が絶えない方だったので、私は特に疑うこともなくお邪魔しました。しかし、その場で話されたのはA社のネットワークビジネスについてでした。「みんなのためになり、自分のためにもなる」「紹介者を増やせば、何もしなくてもお金が入ってくる」と。昇格すればするほど楽な生活ができるとのことでしたが、その話が進むにつれて「これはまずい…」と感じ始め、丁重にお断りしました。彼を信用していただけに、非常に残念な気持ちになったのを覚えています。

その後、異業種交流会に参加する機会が増え、多様な業種の方々とお話しする中で、再びネットワークビジネスの話題に直面しました。Bさんという女性が、別の交流会に私を誘ってくれたのですが、その場での雰囲気は異様に明るく、「応援し合う」という言葉が飛び交う場面に違和感を覚えました。やがて話は、Y社というネットワークビジネスの紹介に発展し、「世のため、人のため」と強調されるのです。

Y社の仕組みは、月額1.1万円を支払うことで、同額分のポイントを得て、品物やサービスを購入できるというものでした。しかし、ポイントの半分は本部に吸い上げられるため、店舗側の利益は削られます。また、強制的に集客を求められる「SAチャレンジ」という制度にも参加を促され、これにはさすがに警戒しました。

最終的に私はクーリングオフを決意しました。Bさんも必死だったのでしょう。結局、ネットワークビジネスは「応援」という名の承認欲求ビジネスなのではないかと感じました。

ネットワークビジネス自体は悪いものとは言い切れません。参加している方々が本気で幸せを感じているのは確かです。ただ、その根底にあるのは、承認欲求を満たすための手段であり、その歪んだ欲求が他者を巻き込む形になるとき、問題が生じるのではないでしょうか。

私たちは、自己の欲望や承認欲求に向き合い、それを他者に依存せずに満たす方法を見つけることが重要だと思います。結局、自分がどうありたいのかを見つめることで、仕事や人との向き合い方も変わってくるのではないでしょうか。

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